てんかん治療の森野クリニック・東京新橋てんかん治療の森野クリニック・東京新橋

脳神経外科 内科 外科|森野クリニック

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東京都港区新橋1-18-19キムラヤ大塚ビル7F

てんかん治療について

脳神経外科治療に30年以上携わる当クリニック院長の森野は、1200例を超えるてんかんの外科手術の実績があり、外来でも非常に多くのてんかん患者を診てきました。

その経験と実績を活かして、てんかんの症状に対する適切な診断と、抗てんかん薬の調整による薬物治療を行います。

また、てんかん患者さんが抱えておられる様々なお悩みについても、時間をかけて患者さんとコミュニケーションをとり、一緒にいろんな問題を解決していきたいと思います。

"てんかん" とは

てんかんとは、脳の神経細胞に異常な電気活動が生じて、意識障害やけいれん が突然に出現し、その症状が繰り返される病気をさします。1000人に4~8人の割合でみられ、乳幼児期から老年期まで幅広くみられる疾患です。

発作を放置しておくと記憶力や知性の低下を招きます。

診断には問診と脳波検査が重要で、治療は抗てんかん薬の服用ですが、難治例には外科治療が良い適応となるてんかんもあります。

森野クリニックでの診断・治療

森野クリニック・脳波検査設備
森野クリニック・処置室
森野クリニック・診察室
森野クリニック・資料風景

適切な診断のための脳波検査をすぐに実施

てんかん治療には、何よりもまず適切な診断が重要です。

診断には、発作時の様子や状況・病歴・生活習慣などを伺う「問診」と、脳の神経細胞で起こっている異常な電気活動を見つけ出す「脳波検査」が必須です。

当クリニックではこの脳波検査の設備を整えており、日や場所を変えることなく診療でご来院された日に検査を実施できます。

抗てんかん薬による薬物治療

てんかん治療は、抗てんかん薬による薬物治療が基本です。薬によって脳の神経細胞内での異常な電気活動をコントロールして発作を抑制させる療法です。

抗てんかん薬にはいくつもの種類があります。いずれも「発作を抑制させる」という働きは同じですが、薬によってその過程や作用は異なっています。そのため発作のタイプによって、薬の向き不向きや効果の大小だけでなく、使用することが望ましくない(悪化させる可能性もある)組み合わせとなってしまう場合もあります。

またてんかん治療は二種類以上の抗てんかん薬をもちいる場合も多く、薬同士の相互作用を考慮し、効果を引き出す組み合わせを選択することも重要です。

当院では、脳神経外科治療に30年以上携わる当クリニック院長・森野の経験と実績を活かして、患者さん一人ひとりの症状に応じた適切な抗てんかん薬による薬物治療を行っていきます。

抗てんかん薬の適切な調整

薬物治療開始後は「発作が減った」「発作がおさまった」「発作の症状が変わった」「変化がない」など、さまざまな経過をみることになります。

その際、「薬を減らす」「薬を増やす」「薬を変える」「二種類以上の薬を組み合わせる」「組み合わせた薬の配分量を変える」など、その時々の患者さんの症状に応じて抗てんかん薬の適切な調整をこまめに行うことが必要となります。

この調整には経験が必要であることもさることながら、その時々の患者さんの症状を把握することが重要です。

当クリニックでは、症状を把握することに必要な脳波検査をすぐに実施できる設備を整えており、また、症状の把握や薬の調整には患者さんのご協力も必要であることから、通院いただいた過程において築かれた患者さんとの関係性を大切にして、抗てんかん薬の適切な調整を行っていきたいと考えています。

迷走神経刺激術のシステム管理

抗てんかん薬の服用をもってしても発作を抑制できない難治てんかんの中には、迷走神経刺激装置植え込み術(VNS)が行われる症例があります。

当クリニック院長はこれまでに、168例のVNS手術を施行した実績があります。

この "VNS" のシステム管理を当クリニックでは診察日はいつでも行なっております。

外科治療のセカンドオピニオン

抗てんかん薬の適切な服用をもってしても発作が抑制できない場合、外科治療が良い適応となるてんかんがあります。

当クリニック院長は1200例を超えるてんかん外科手術の経験がありますので、他の医院や病院などの医療機関で手術治療を勧められた方に対するセカンドオピニオンもお引き受けいたします。

てんかん治療をより理解するために

てんかん治療には、何よりもまず正確な診断が重要です。

てんかんは、「発作の起き方・発作の起こる部位」を軸とした基準と、「原因」を軸とした基準をもとに、大きく4つのタイプに分類されます。

「発作の起き方・発作の起こる部位」については、手や首など体の一部分のコントロールが効かなくなる等の発作が見られる『部分てんかん』と、意識を失ったり全身のけいれんが起きる『全般てんかん』に分けられます。「原因」については、明らかな脳の病変が認められない『特発性』と、明らかな病変が認められる『症候性』に分けられます。

これらを掛け合わせて、「特発性の部分てんかん」「症候性の部分てんかん」「特発性の全般てんかん」「症候性の全般てんかん」の4タイプに分類されています。

てんかんが疑われる患者さんが、上記のようなタイプのどれに当てはまるかを正確に診断することは、てんかん治療の方針決めや経過の見通しを立る上でとても重要とされてます。

そのためには、てんかんの診断には必須となっている脳波検査に加えて、正確な診断に欠かせない情報収集としての「問診」が大切な役割を果たします。

その中でも特に、発作が起こった時の様子の詳しい分析が必要となるため、「発作が起きた時の状況(どこで何をしていたか・どんな時に異変に気付いたか・発作の前に頭部のケガ等があったかなど)」「けいれんが起きた時の状況(部位・けいれんが続いた時間・けいれんが始まる直前の様子など)」「症状が現れている間の意識の有無」などについて記録しておくことが望まれます。

最近では、とっさの時などにも動画を撮影することが比較的安易に行えます。動画での記録は、発作が起こった時の様子を医師が分析する場合において有効な方法と言えます。

また、「家族や血縁者にてんかんの方がいるか」「脳梗塞など脳に関わる病歴はあるか」「発達面での問題はあるか」「過去に頭部にケガを負ったことはあるか」「個人の生活習慣に関係する事柄」など、正確な診断のためには幅広い情報を把握する必要があるため、情報の提供にご協力いただくことも大切となります。

高齢者の場合「てんかん」と気づかれないケースも

高齢者の場合、意識障害・記憶障害・失語・無反応・知性の低下などの症状がみられた際、それが認知症の症状と近しいことや、高齢で発症したてんかんは「症候性の部分てんかん」であることが多く、これは症状にけいれんを伴わないため、てんかんと気づかれない(認知症と誤診される)こともあります。

このため、高齢者では認知症との鑑別が非常に重要となります。

「てんかん」に比べ「認知症」は、その言葉を耳にしたり、ドラマや映画などで目にする機会も多いため、それらしい症状がみられた際にまず「認知症かも」と思われてしまうケースも多いですが、正しくてんかんと診断できれば、抗てんかん薬での薬物治療によりてんかん発作を抑制することで、症状の改善が見込める場合があります。

特に高齢者の場合、認知症とてんかんの見分けだけでなく、持病や、年齢からくる身体的要因との関連を含めた上での診断が必要となりますので、認知症が疑われたら、てんかんの専門医にも相談されることをお勧めします。

てんかんの診断にMRIなどの画像診断が必要な理由

てんかんで他院から紹介されて受診される患者さんのなかにMRIを受けたことはないという患者さんがたまにみられます。

問診するとその患者さんのてんかんの種類が大体、わかるのですが、基本的にはてんかんは脳の病気ですから、MRIによる適切な診断を仰ぐことが大切です

たとえば、抗てんかん薬がききにくい「側頭葉てんかん」はその原因として幼少時に低酸素症に陥った既往歴(新生児仮死、熱性けいれん)を持つことが主ですが、脳の器質性病変(脳腫瘍、皮質形成異常など)が原因となることも稀ではありません。

低酸素症に陥った既往歴のある人で難治性側頭葉てんかんをきたしている患者さんの中には海馬の大きさに左右差が見られること(患側の海馬が小さくなる現象:海馬萎縮)があります。MRIの画像診断で本来は記憶の中枢である海馬が、てんかんの焦点となっていることがわかります。

MRIは当クリニックに設備していませんが、当クリニックから徒歩圏内の距離にMRIの撮影が可能な施設がございます。「頭痛」や「めまい」、「頭部外傷」「意識喪失やけいれんなどの発作」ですぐに検査および診断を希望される場合もMRI検査後、その日に当クリニックで脳神経外科専門医から画像診断の結果説明がうけられます。

抗てんかん薬の薬物血中濃度について

抗てんかん薬を服用されている患者さんに抗てんかん薬の血中濃度を測定することがあります。

抗てんかん薬は脳内の神経細胞に作用しますので、本来は薬の脳内での濃度を測定するべきですが、それは非常に困難なので、最も良く関係している血中濃度を参考にします。

患者さんが服用されている抗てんかん薬にはそれぞれ、有効濃度があります。最大限の効果が出るように薬物量を設定すること、かつ副作用が出ないようにすることが大切です。

このため、発作が抑制されていても定期的に薬物血中濃度を測定することは副作用の発現を回避するために必要です。もちろん、発作が抑制されていない場合はこの薬物血中濃度を測定しながら、薬の量を増量していきます。

ただし、適切と決められている有効濃度以下でも発作が抑制されている患者さんや、逆に有効濃度を超える状態ではじめて発作が抑制された患者さんもおられます。

有効濃度に達していない低濃度で発作が抑制されているのなら、薬を減量あるいは断薬できるのでは?と思いがちですが、このような状況があてはまる患者さんの売でも、薬の減量により発作が再発された方もおられることは事実で、基本的に抗てんかん薬の減量は慎重に行う必要があります。また有効濃度を超える状態でも、それによる副作用が認められない場合は副作用の出現に注意しながら、様子を見ていきます。

発作が難治な例で抗てんかん薬の種類を増やす理由

当クリニックに通院されているてんかん患者さんの中には、院長が勤務医時代に手術治療を行った患者さんも多数おられます。

このような外科治療の対象となるてんかん患者さんは基本的に2種類以上の抗てんかん薬を服薬している場合がほとんどです。

この場合、初めから2種類の薬が一緒に投与されるのではなく、薬Aが最初に処方され、その後、発作が抑制できないときは徐々に薬Aの量が増やされ、やがて薬Aに定められた極量に達したり、薬物血中濃度が中毒量に達する前に薬Bが追加されます(もちろん、この例は専門医による適切なてんかんの種類の診断がなされ、薬Aが第一選択薬として適当であることを前提としています。)。

薬Bが追加された後、発作が抑制されると患者さんの中には「初めから薬Bを服薬していたら、1種類で抑制できたのでは?」と疑問に思われる方がおられます。

抗てんかん薬には神経細胞内での異常な電気活動を抑制するため、それぞれ違った作用機序があります。難治例に対してはこの作用機序の違いを利用して2種類以上の抗てんかん薬をうまく組み合わせて発作を抑制しているのです

てんかん治療についてのエピソードやニュース、また、クリニックで診療した中で感じたことや患者さんから尋ねられたことなど、ブログ記事として掲載しています。

てんかん治療 トピックス

自立支援医療制度について

てんかんの患者さんの場合、抗てんかん薬による治療を長期にわたって続けなければならないケースがあるため、医療費の負担が長く続くことがあります。

そのため、てんかん患者さんの医療費の負担を軽減し、自立した生活を送っていただくことを支援する「自立支援医療制度」という福祉制度が用意されています。

てんかんの診断を受けて通院中の患者さんや、現在症状がないものの再発予防のために通院中である患者さん等が対象となり、この制度を利用できます。

自立支援医療制度を利用した場合、「医療費の自己負担割合が1割になる」「所得に応じた1ヶ月あたりの医療費負担の上限額が設けられる」というようなサポートを受けることができます。

自立支援医療制度の対象となる医療費の詳細や、医療費負担の上限額の所得設定、申請の方法や必要な書類等は、当クリニックでお尋ねください。

てんかん患者さんには診察券などの常時携帯をお勧めします

てんかん発作は意識を失って倒れる、けいれんを起こすというような発作だけではありません。

特に側頭葉てんかんの複雑部分発作では歩行自動症をきたす発作というのもあります。これは電車に乗って県をまたいで移動するような行動が可能だけれども、その間の記憶がないといったことです。

以前、このような発作を起こして、警察に保護された患者様がありました。発作による一過性の記憶障害で氏名、住所も言えない状態で身分証も持っていなかったので警察は大変、苦労されたみたいですが、本人がかかりつけである私の名前だけを言えたので、こちらに連絡があり、携帯のテレビ電話機能でお顔を確認できたので、事なきを得ました。今後は身分証やかかりつけ医がわかるような物を常に携帯しておくよう助言しました。

てんかんで治療されている方にはこのようなエピソードが起こる可能性があり、大発作の場合は救急搬送されることもありますので、日ごろから、診察券やお薬手帳などを持参しておくことをお勧めします。