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院長ブログ

抗てんかん薬の副作用 :薬剤によるγ-GTP値の上昇

2023年7月10日

抗てんかん薬に特異的な副作用ではなく、一般の薬剤の服用にても起こりえるγ-GTP値の上昇についてお話したいと思います。

てんかん発作が抗てんかん薬に抵抗性の難治性てんかんの患者さんでは薬を多種類でしかも最大量を服用していることが多く、発作抑制を優先すると副作用でγ-GTPが正常上限値を超える異常値であっても、薬の変更は簡単にはできません。しかしながら、どの薬が主に原因になっているのかは綿密な薬の調節により、判断することは可能で、特に1種類の抗てんかん薬の服用でγ-GTPの上昇がみられる症例では薬の変更をすべきです。

γ-GTPは胆道から分泌され、肝臓の解毒作用に関わる酵素で、肝胆道系の臓器障害を判断する血液検査項目のひとつです。一般には過度のアルコール飲酒により値が上昇するので、アルコール性肝障害や脂肪肝の指標として知られています。 抗てんかん薬を長期間、服用している患者さんでアルコール飲酒をしない人や肥満でない人でγ-GTP値が高値を示す患者さんは抗てんかん薬の服用が原因である可能性が高いです。

私のクリニックに通院している50代の男性患者さんで他院から転院されてきた時の血液検査でγ-GTPが83(正常値は0~70<男性>、0~30<女性>)と高値でした。服薬されていた抗てんかん薬は1種類でしたので、これを他の抗てんかん薬に変更し、約4か月でγ-GTPは正常化し、その後、1年になりますが、発作もなく、正常値を保っています(直近の値は53です。)。アルコール性肝障害でγ-GTP値が100未満であれば、さほど心配はないとされていますが、抗てんかん薬の服用による高値はその後も薬を服薬する必要があることから、出来るだけ、異常をきたさない薬に変更することが良いと考えます。