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院長ブログ

抗てんかん薬の副作用は服用するすべての患者さんに認められるわけではないこと

2022年2月1日

11月に他院から紹介された20代男性の側頭葉てんかんの患者さん。

意識減損の発作は毎日のように認められるとのことで早速、脳波検査を行うと左側頭葉に強い異常波を頻度大で認めました。抗てんかん薬は3種類、処方されており、そのうち2種はその薬の極量が投与されていました。これだけの薬を服用していても、毎日のように意識減損があるとのことでしたので、外科治療も視野に入れた薬の調節が必要だと考えました。まずこの側頭葉てんかんによく処方される薬Aが投与されていなかったので、「Aという薬は処方されたことはなかったですか?」とお聞きしましたところ、「その薬を服用したら、強い精神症状が出て怒りっぽくなると言われたので断りました。」とのことでした。確かに薬Aの副作用として人によってはイライラ感が出ることがありますが、全ての服用患者にその副作用が出るわけではありません。この患者さんは発作が抑制できずに困っているのだから、薬Aを試す必要性は高いと判断しました。患者さんには易怒性の副作用は必ず出現するものではないこと、現在、服用されている薬の作用機序についても十分に説明し、納得してもらった上で薬Aを追加しました。このとき薬Aよりはこのてんかんに効果がないと考えている薬を止めて、3種類で様子を診ました。するとその後から、発作は緩和され、月1回の頻度に激減しています。脳波上も頻度大で認めていた側頭葉の異常波は抑制されており、患者さんは発作に対する不安が軽減し、非常に喜んでおられます。

薬の変更により、発作が抑制されることはよくあることですが、特に服用する患者さん自身がその薬の効果や副作用について十分、納得して治療に疑問を持たずに前向きになることが非常に重要です。