特発性全般てんかん患者さんの将来について

若年ミオクロニーてんかん、若年欠神てんかん、小児欠神てんかんなどの特発性全般てんかん患者さんが当クリニックに50名近く、通院されています。特に若年ミオクロニーてんかんや若年欠神てんかんの患者さんは10歳代半ばという多感な時に発症しますので、その心中はこれからの自分の将来（学業、就職、結婚）に大きな不安を感じていると思います。てんかんは偏見の目で見られがちな疾患であるため、友人や職場に知られたくないと思うのも無理はありません。てんかんがコンプレックスとなり、自暴自棄になっている患者さんもおられます。しかしながら、この特発性全般てんかんに属するてんかんは知性や記憶力を含む脳高次機能の低下はきたしませんので、発作をしっかりと抑制すれば学業や就職、結婚の支障にはなりにくいといえます。私が手術した左大脳半球全体がてんかん焦点になっている20歳代半ばの患者さん、やや左上肢が不自由ですが、好きなサッカーを楽しむために週5回、50mの登り坂を10本ダッシュしています。大切なことは「私は何も悪いことはしていないのに、何故、てんかんで悩まないといけないの？」などのネガティブな考えを持たないことです。てんかんに負けてはいけません。後ろを振り返らずに前を向いて人生を有意義なものにしましょう。