片頭痛とてんかん
2021年6月10日
片頭痛とてんかんはいずれも発作性の脳疾患なので関連性があるのでは?とよく議論されています。
以前にブログで述べた「後頭葉てんかん」は前兆として視覚性の異常が認められることが多いですが、一方、前兆のある片頭痛では「閃輝暗点」というキラキラした光が現れてその部分が見えなくなるという症状があります。後頭葉てんかんの発作が前兆のみで終わり、頭痛が合併する場合などは片頭痛との鑑別が困難な場合があります。
またてんかん発作時に起こる頭痛はてんかん性頭痛と呼ばれますが、脳血流が増加して血管拡張をきたすことから片頭痛の頭痛発現機序と類似しています。側頭葉てんかんの患者さんでは「上腹部消化管の不快感」や「既視感」などの前兆以外に「頭痛」を前兆とする人もあり、片頭痛が合併している可能性も否定できず、片頭痛の薬であるトリプタン系薬剤を処方されている患者さんも時々、見受けられます。
片頭痛の予防薬として、抗てんかん薬であるバルプロ酸ナトリウムが保険認可されていることもこの二つの疾患が類似していることを物語っており、この2疾患の鑑別は重要だと考えています。