特発性全般てんかん part2 ~若年ミオクロニーてんかん
part2は若年ミオクロニーてんかんです。特徴を箇条書きにします。
・10歳代(8歳~20歳)に多くはミオクロニー発作で発症し、全般性強直間代発作や欠神発作を伴うことが特徴である。
・脳波上は正常の基礎律動の上に前頭葉および中心葉優位の3~6Hz両側同期性棘徐波複合の出現が見られる。
・てんかん全体の5~10%を占め、性差はない。
・ミオクロニー発作は意識喪失を認めず、短時間のぴくぴくとした骨格筋の攣縮発作で、全身性に起こる場合もあれば顔面、上下肢の一部に起こる場合もある。起床時にコップの水を飲もうとして、このピクツキのためにコップの水をよくこぼすようになり、異変に気が付くことが多い。
・全般性強直間代発作は意識喪失をきたし、激しい筋肉の収縮により四肢が強くこわばった状態となり、呼吸が抑制され、眼球が上転したり、左右へ偏位する。ミオクロニー発作が先行することが多い。
・欠神発作は頻度が少ないため、日常生活では気が付かれない場合もある。発作内容は行動が突然、止まって眼球が上転し、数十秒の意識が途切れる状態である。
・知的障害、運動障害などの合併症を認めない。
治療は抗てんかん薬の服薬ですが、第一選択薬はバルプロ酸ナトリウム(商品名はデパケンR,セレニカRなど)、レベチラセタム(商品名はイーケプラ)です。多くはこの2剤のいずれかで異常な脳波所見が改善し、発作が抑制されますが、中には発作が難治化し、抗てんかん薬を5種類も服用しても発作が治まらず、私が勤務医時代に他院から紹介されて、迷走神経刺激術を施行し、ようやく発作が緩和できた症例があります。この患者さんは発症時によく説明がなされておらず、自己判断で服薬を中止したり、再開したりを繰り返していたそうです。私の経験では他院から紹介される若年ミオクロニーてんかんのほとんどが断薬と服薬再開を繰り返しており、発作は断薬すると高率に再発すると思われます。むしろ、服薬を規則正しく継続すれば発作が難治化する可能性は低いので、服薬の重要性をよく説明するようにしています。このてんかんのミオクロニー発作を異常だと認識していない人が多く、よく問診することが重要です。
前回のPart1でお話しした小児欠神てんかんの欠神発作、および今回の若年ミオクロニーてんかんのミオクロニーおよび欠神発作はカルバマゼピン(商品名はテグレトール)服薬で発作が悪化するので注意が必要です。