抗てんかん薬の副作用 ~スティーブンス・ジョンソン症候群
2021年6月22日
今回は抗てんかん薬の副作用として、最も注意が必要な皮膚疾患であるスティーブンス・ジョンソン症候群<Stevens-Johnson症候群>(SJS)についてお話します。
SJSは一般的には薬または感染症によって発生しますが、原因となる薬剤は抗てんかん薬、抗生剤、解熱消炎鎮痛剤などがよく知られています。典型的な症状は発熱(38度以上)、皮膚の剥離、赤い発疹、粘膜の水泡(口の中、眼、膣)です。これらの症状は通常は薬の服薬開始から7~21日後に始まり、発熱、全身の痛み、結膜炎(両目の充血、目やに、かゆみ)が生じます。それに続いて皮膚の症状が現れ、赤い発疹が顔面、体幹に認められ、広がっていき、発疹の中央部に水泡が形成されて、剥がれ落ちていきます。感染をきたして多臓器不全に陥ると命に関わる重症となりますので、早期に診断し、入院の上、治療を開始することが重要です。
治療は血漿交換、ステロイドの大量投与です。
私の経験した症例はゾニサミド(商品名:エクセグラン)を服薬していた右側頭葉てんかんの患者さんでしたが、服薬開始後20日後に高熱と皮膚症状が出現し、SJSの診断で大学病院の皮膚科へ入院して治療が行われたので事なきを得ました。SJSの治療後は抗てんかん薬の服薬を継続できなかったのでてんかんの外科治療により、発作を抑制しました。この例は手術治療が可能な側頭葉てんかんだったので、抗てんかん薬が服用できなくなっても発作を抑制できましたが、手術適応のないてんかんだと治療が困難になります。
とにかく、抗てんかん薬を服用されて、上記の皮膚症状が認められたら、すぐに服用を中止し、医師に連絡してください。