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院長ブログ

患児の母親が診断したWest症候群

2021年7月26日

今回はWest症候群について述べたいと思います。先日、生後8か月の女児のお母さんから「娘が生後7か月時よりお座りしていて、急に床に顔をぶつけるような勢いでカクっと前方へ倒れるようになったので、近くの大きな病院の小児科へ行きましたが、大丈夫だと言われました。でもWest症候群だと思うので脳波検査をしてほしい。」とメールで問い合わせがありました。すぐに来院していただき、脳波検査を行ったところ、高振幅の棘波、鋭波、徐波が無秩序に持続的に認められ、West症候群の脳波に特徴的なhypsarrhythmia(ヒプスアリスミア)と診断しました。お母さんは患児の発作も録画されており、拝見しましたが、West症候群で見られるてんかん性スパズム(頭頚部を前方へ倒すような動きや四肢を一瞬、縮めるような動作)でした。幸いまだ発育・発達の遅れはなく、早期治療が大切なので近くの病院小児科へ紹介しました。

このように最近はインターネットで患者さんや患者さんの家族が簡単に病態を調べることが出来ることと、また母親が一番、患児を観察しているので早い段階で気づくことができたのでしょう。我々、医療従事者はその声に真摯に向き合うことが大切だと思います。

West症候群については乳児期(生後3~11か月)に発症する重篤な脳障害を伴う難治性てんかんで別名は「点頭てんかん」です。発作は前述のとおり、四肢を発作性に縮ませたり、前方に頭を垂れるような動きで1日に何度も起こります。治療は抗てんかん薬やACTH治療(副腎皮質刺激ホルモンの投与による治療)、ケトン食による治療があります。難治化した場合は左右の大脳半球をつないでいる脳梁という繊維を切断する脳梁離断術が行われることが多いです。