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院長ブログ

新しい片頭痛の予防薬 エムガルティの効果について-2例の経験-

2021年9月10日

2021年5月21日のブログで紹介しました新しい片頭痛の予防薬であるエムガルティ(一般名:ガルカネズマブ)を適応のある2名の患者さんに投与し、良い結果を得られていますので、今日はこれについて述べます。

20代と60代の女性で、お二方とも閃輝暗点を前兆とする片頭痛で月に4回以上、イミグランを代表とするトリプタン系薬剤の服用を必要とされていました。またミグシスやプロプラノロールなどの予防薬も服用されていましたが、効果が得られずお困りでした。このお二方にエムガルテイを投与したところ、20代の方は投与後よりトリプタン系薬剤を使用することがなくなっています。この方は念のため、予防薬は継続していますが、60代の方は投与後より、予防薬およびトリプタン系薬剤も服用されていませんが頭痛は治まっています。20代の方はエムガルテイ3回の投与が終了し、その1か月後の診察時も頭痛は再発することなく経過は良好です。60代の方は2回の投与が終了したところですが、その効果に驚かれております。お二人とも注射による明らかな副反応は認められませんでした。

難治な片頭痛でお悩みの方は日常生活に大きなストレスを抱えておられます。頭痛が強いときは仕事や家事が満足にこなせず、職場あるいは家庭内の人間関係にも悪い影響をおよぼします。

エムガルテイ治療の対象はMRIなどで頭蓋内病変がないことが確認されている18歳以上の慢性片頭痛を認める患者さんで頭痛が本薬剤を投与する3か月以上前から平均して月に4日以上認められ、予防薬の効果が不十分な方です。

投与方法は初回に2本(1本:120㎎1ml)を皮下に注射し、2か月目から1か月ごとに1本、注射します。大体3か月目(3回投与)まで注射を行い、効果を見ます。よくみられる副作用は注射部位(上腕部、腹部、臀部、大腿部)の痛みや発赤、かゆみです。保険適応とはいえ薬価が高額(3割負担で3か月間の治療で約54,000円)ですが、難治性片頭痛でお悩みの方は是非、ご相談ください。