てんかん治療の森野クリニック・東京新橋てんかん治療の森野クリニック・東京新橋

脳神経外科 内科 外科|森野クリニック

ダークモードで表示ダークモード解除

東京都港区新橋1-18-19キムラヤ大塚ビル7F

院長ブログ

赤ちゃんのモロー反射と鑑別困難な点頭てんかんの発作

2021年11月30日

この1か月間に2例の脳波検査希望の乳児が来院しました。2例ともお母さんがネットで調べて、我が子の動きがおかしいので点頭てんかんでは?と心配になったとのことでした。確かにスマホで撮影された動画を見てみますと手足を瞬間性に縮めたり、伸ばしたりしています。しかもこの一連の動きが一日に何度も見られるとのことでした。お母さん方の不安もよく理解できます。一日中、お子さんを観察して、少しの変化に敏感になられている上にすぐにネットでいろんな情報が簡単に手に入り、動画でてんかん発作を見ることも出来る時代ですからね。

点頭てんかんはWest症候群と呼ばれ、生後3か月から11か月までに発症することが多く、原因は重篤な脳障害です。

この点頭てんかんの発作とよく似ている正常の原始反射としてモロー反射があります。モロー反射は赤ちゃんに大きな音や明るい光などの刺激が加えられた時に手足をピクッとさせ、万歳のように両手両腕を広げる動作です。これは赤ちゃんが周囲の危険を察知できないので、危険から自らの身を守るため、あるいは両親に守ってもらうための無意識の反射なのです。モロー反射は生後すぐから4か月までの間に見られるものですので、点頭てんかんの発症時期と重なっている期間があります。

2例とも脳波検査を行い、異常所見がないことが確認でき、安心してもらうことができました。点頭てんかんの患児の脳波はヒプスアリスミアと呼ばれる多焦点性に棘波、多棘波、棘徐波などの異常波が不規則で無秩序に出現する所見を示すので鑑別は容易です。点頭てんかんであれば知能・運動機能の発達が遅延し、今まで認めていた首のすわりやお座りができなくなるので、その時点で病院を受診することが多いのですが、早期発見・早期治療が望まれます。