発作が難治な例で抗てんかん薬の種類を増やす理由
2020年11月12日
当クリニックに通院されているてんかん患者さんの中には私が勤務医時代に手術治療を行った患者さんも多数おられます。
このような外科治療の対象となるてんかん患者さんは基本的に2種類以上の抗てんかん薬を服薬している場合がほとんどです。
この場合、初めから2種類の薬が一緒に投与されるのではなく、薬Aが最初に処方され、その後、発作が抑制できないときは徐々に薬Aの量が増やされ、やがて薬Aに定められた極量に達したり、薬物血中濃度が中毒量に達する前に薬Bが追加されます(もちろん、この例は専門医による適切なてんかんの種類の診断がなされ、薬Aが第一選択薬として適当であることを前提としています。)。
薬Bが追加された後、発作が抑制されると患者さんの中には「初めから薬Bを服薬していたら、1種類で抑制できたのでは?」と疑問に思われる方がおられます。
抗てんかん薬には神経細胞内での異常な電気活動を抑制するため、それぞれ違った作用機序があります。難治例に対してはこの作用機序の違いを利用して2種類以上の抗てんかん薬をうまく組み合わせて発作を抑制しているのです。