抗てんかん薬の薬物血中濃度について
2020年11月19日
抗てんかん薬を服用されている患者さんに抗てんかん薬の血中濃度を測定することがあります。
抗てんかん薬は脳内の神経細胞に作用しますので、本来は薬の脳内での濃度を測定するべきですが、それは非常に困難なので、最も良く関係している血中濃度を参考にします。
患者さんが服用されている抗てんかん薬にはそれぞれ、有効濃度があります。最大限の効果が出るように薬物量を設定すること、かつ副作用が出ないようにすることが大切です。
このため、発作が抑制されていても定期的に薬物血中濃度を測定することは副作用の発現を回避するために必要です。もちろん、発作が抑制されていない場合はこの薬物血中濃度を測定しながら、薬の量を増量していきます。
ただし、適切と決められている有効濃度以下でも発作が抑制されている患者さんや、逆に有効濃度を超える状態ではじめて発作が抑制された患者さんもおられます。
有効濃度に達していない低濃度で発作が抑制されているのなら、薬を減量あるいは断薬できるのでは?と思いがちですが、このような状況があてはまる私の患者さんで薬の減量により発作が再発された方もおられることは事実で、基本的に抗てんかん薬の減量は慎重に行う必要があります。また有効濃度を超える状態でも、それによる副作用が認められない場合は副作用の出現に注意しながら、様子を見ていきます。