ストレスに負けない身体を作ろう!
てんかんで通院加療を受けている患者さんには「睡眠不足などのストレスが発作発現の誘因になるので、規則正しい生活を送るように努力しましょう。」と生活指導をしていますが、このコロナ禍ではストレスを回避するのも難しいですね。このストレスに負けないようにするためにいくつか提案します。
健康な身体を維持するためには自分の意志ではコントロールできない自律神経の働きが非常に重要になります。
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」に分けられ、循環、消化、呼吸などの人間の生命活動に必須の能力を調整しています。交感神経が優位になると血管が収縮して血圧が高くなり、やる気を増すようなホルモンが脳で分泌され、気持ちは高まって活動的になりますが、疲労につながります。副交感神経が優位に働くと血管が広がって血圧が下がり、気持ちがリラックスします。しかしながら交感神経が緊張していた反動で副交感神経が優位になると鬱状態になるリスクがあると指摘されています。この交感神経と副交感神経の双方がバランスよく、働くような状態が望ましいのです。
日常生活を送る中でいろいろな状況でストレスが発生するとこの自律神経のバランスが崩れて食欲不振、不眠、疲労などの体調不良が生じ、頭痛や鬱、めまいなども生じます。
冬のこの時期では気温変化や室内外の温度差などが原因となって引き起こされる「寒暖差疲労」と呼ばれる病態も報告されています。
てんかんを患っている患者さんにとっては発作の誘因となるストレスをできるだけ避ける必要があります。このストレスに負けない身体を維持するための生活改善が役に立ちます。以下のことを心掛けてください。
1.適切な運動(歩行やストレッチなど)を行いましょう。できるだけお天気の良い日は日光を浴びてください。コロナ禍でも公園内を散歩することくらいは可能だと思います。
2.副交感神経を刺激するのには、やや熱めのお湯で濡らしたタオルを目の上に乗せるのも効果的です。
3.就寝前にややぬるめで長めの入浴(39~41度)を行って良い睡眠をとれるようにする。
4.こまめに水分補給を行い、自律神経のバランスを乱す脱水にならないようにする。
5.アルコールは控えて、食物繊維の多い食品や味噌、納豆、チーズ、ヨーグルトなどの腸内環境を整える働きのある発酵食品を摂取する。