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院長ブログ

解離性脳動脈瘤について

2021年1月26日

爆笑問題・田中裕二さんが1月20日に頭痛を訴えて前大脳動脈解離によるクモ膜下出血と診断されて緊急入院されたことは皆さん、ご存知でしょう。私も最初ニュースを見たとき、「大丈夫かな?」と思いましたが、翌日には、しっかりと会話もできており失語や片麻痺はないと報道されたので安心しました。このニュースを見たことから、軽い頭痛でも心配になり、私のクリニックを訪れた患者さんもおられましたので、少し説明いたします。

一般にはクモ膜下出血は動脈硬化により脳動脈の分岐部にできた瘤、脳動脈瘤が破裂することが一番多いです。では脳動脈解離は脳動脈瘤とどう違うのでしょうか?

脳血管の動脈壁は内膜、中膜、外膜の三層構造で成り立っているのですが、これは動脈壁のいちばん内側の内膜に亀裂が入り、内膜と中膜の間に血液が流入して動脈瘤のような病態が引き起こされた状態を指します。田中さんのクモ膜下出血はこの脆弱な血管が拡張し、破れて出血したものと思われます。解離性脳動脈瘤の発生原因はやはり、動脈硬化でその動脈硬化を引き起す生活習慣病として糖尿病、高脂血症、高血圧があげられます。

しかしながら、今回は田中さんが以前から脳ドックを定期的に受けていて異常は指摘されていなかったこと、昨年8月に新型コロナウイルス感染症を患ったこと、新型コロナウイルスについてはまだよくわからないことが多いことから、この感染症と脳血管の異常に関連がある可能性が指摘されています。確かに抜歯後に引き起こされることがある感染性心内膜炎に罹患した後、細菌性脳動脈瘤を発症することがあることは脳神経外科医にはよく知られており、新型コロナウイルス感染症のような重篤な感染、炎症で組織破壊が生じ、血管壁が損傷した可能性はあると考えます。