嫌な臭いがした後に意識が曇ったというエピソード
2021年2月1日
てんかんが疑われる患者さんが自らの発作内容について「嫌な臭いがして、その後に記憶が薄れました。」と表現されることがあります。
先日もこのようなエピソードが頻回に起こるという訴えで来院された患者さんがありました。脳波を行うと、側頭葉に異常波が認められ、側頭葉てんかんと診断し、治療を開始しました。この側頭葉てんかんで典型的なものは発作が出現する直前に患者さんが発作出現を予期するお知らせのような症状がみられます(厳密にはこのお知らせも発作の一部です)。これを前兆と呼びますが、一番よくみられる前兆は上腹部消化管の不快感(食道あたりから気持ちの悪さがこみあげてくる。)ですが、側頭葉の内側部にある鉤回(こうかい)が原因でおこる異臭(uncinate fit、日本語では鉤発作と呼ばれます。)も前兆のひとつとして有名です。意識を失うようなエピソードがなくても、このような異常な臭いが持続的ではなく、発作性に何度も起こる場合はてんかん専門医に相談してください。