てんかんと鑑別が難しい心因性非てんかん発作
2021年2月18日
心因性非てんかん発作とはてんかん発作に似た症状を認めますが、脳波所見にてんかんと診断できる異常波が同定されず、心理的な要因により発現するものです。過去には偽発作と呼ばれていました。てんかんとして来院する患者の5~20%に認められ、てんかんと心因性非てんかん発作が合併している患者さんも存在します。一般には抗てんかん薬を服用しても効果がないので、薬の量や種類が増えて、難治性てんかんとされることもあります。
私の勤務医時代、「手術で治療できないでしょうか?」と他院から紹介されてきた患者さんのうち、心因性非てんかん発作と診断した患者さんが数例ありました。診断にはビデオ・発作同時記録を行って、発作時の脳波に異常があるのかどうかを判断します。治療は発作の原因となっている患者さんの心理的要素を明らかにして、それを改善するためのカウンセリングが中心となります。
「てんかんかどうか調べて欲しい。」と希望されて当クリニックに来院される患者さんの中にもこの心因性非てんかん発作と思われる方が存在しています。心因性非てんかん発作の場合は、患者さんの発作にいたる原因がそれぞれ異なっていますので、個々の患者さんを取り巻く社会、家庭環境などをしっかりと問診して出来るかぎりのアドバイスを行っています。