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院長ブログ

脳腫瘍とてんかん part2 ~神経膠腫

2021年4月8日

今回は脳の神経細胞が腫瘍化した腫瘍について述べます。これは腫瘍と正常脳組織との境界がはっきりしておらず、手術で完全に切除することが困難な腫瘍です。中でもてんかんの原因となる頻度の高い神経膠腫について述べます。

この腫瘍は腫瘍細胞の病理組織の悪性度により4つのグレードに分けられます。基本的にはグレード1,2は良性ですが、3,4は腫瘍の増大速度も速く、特にグレード4は神経膠芽腫と呼ばれ、手術および化学療法、放射線治療を行っても平均余命は1年未満です。いずれも大脳半球に発生した場合はてんかんで発症することも多く、中高年で初発のてんかん発作を認めた場合はこのような腫瘍の早期鑑別が非常に重要であるため、MRI検査が必須です。グレード1,2の脳腫瘍で特に難治性側頭葉てんかんを呈している症例を私は110例、執刀しましたが、そのうちの約半数である52例は側頭葉内側部(扁桃体や海馬周辺の脳回)が腫瘍の存在部位でした。

前回述べた海綿状血管腫と同様で、側頭葉にこの腫瘍が存在する場合は腫瘍の大きさが小さい例でもてんかん発作が認められることが多く、グレード2から3あるいは4へと悪性転化する場合もあるので、MRI検査により、てんかん発作の原因が脳腫瘍なのかどうかを早期に鑑別することが重要です。