特発性全般てんかん part1 ~小児欠神てんかん
特発性全般てんかんの中には小児欠神てんかん、若年欠神てんかん、若年ミオクロニーてんかん、全般強直間代発作のみを示すてんかん(以前は覚醒時大発作てんかんと呼ばれていた。)の4つが含まれます。このうち、当クリニックでもよく受診される小児欠神てんかんと若年ミオクロニーてんかんについて述べます。
part1は小児欠神てんかんです。特徴を箇条書きにします。
・学童期発症で発症前は発達が正常な小児である。
・発作の初発症状は欠神発作(意識が短時間とぎれてしまい表情がうつろになるような発作)、非常に頻回の発作出現が特徴である。
・脳波上は正常の基礎律動の上に両側、対称性、同期性の3Hz棘徐波結合の出現が見られる。
・小児てんかん患児の5~10%である。
・発症年齢は3~13歳でとくにピークは6~8歳で女児に多い。
・欠神発作は突然の意識消失、意識の回復を主徴とする。
・発作の持続は5~10秒が最も多く、大部分は15秒以内に終わる。発作は覚醒時のみで睡眠時にはみられない。
・患児は会話や食事、歩行を止め、眼球が固定し、空を見つめる。
・発作は過呼吸や光刺激で誘発され、発作回数は一日数回から数十回に及ぶ。
・発作がないときは何ら症状がなく、知能は正常であることが多い。
診断の決め手は特徴的な脳波所見です。治療は抗てんかん薬の服薬ですが、第一選択薬はバルプロ酸ナトリウム(商品名はデパケンR,セレニカRなど)です。予後については順天堂大学小児科の報告では10年以上観察した例で社会適応は良好であるとされています。当クリニックでも発作内容と脳波検査により、診断した2例の小児欠神てんかんを治療していますが、発作はバルプロ酸ナトリウムの投与ですぐに抑制され、学業には悪い影響が出ていません。