「側頭葉てんかんについて」のブログを見て来院された患者さん
2021年9月17日
2021年3月8日にアップしている「側頭葉てんかんについて」のブログを読まれた20代の女性が6歳ごろから自分の中で悩んでいた症状と側頭葉てんかんの前兆が一致していることに気が付き、来院されました。問診すると6歳ごろより吐き気ではないけれども、胃の上あたりにこみあげてくるような感覚と過去の景色が浮かんでくる症状を認めるようになり、誰にも言わずに放置していたとのことでした。子供心に「これは異常な感覚だ。」と思っていたのだけれど、怖くて親にも言えなかったらしいです。成長とともに頻度が増して、20歳を超えたころから月に10回以上の頻度で認めるようになり、ネットで調べていたようです。そこでたまたま私のブログの記事が目に留まり、「これだ!」ということで当クリニックを受診されました。もちろん、今までその症状で病院にかかったことはありませんでした。話を聞くと2歳時に熱性けいれんの既往はありました。脳波検査を行うと右側頭葉に異常波を認め、MRI(海馬の様子がよくわかる撮影法で行いました。)で右海馬硬化症を認めました。彼女が奇妙に思っていた症状は典型的な側頭葉てんかんの前兆でした(上腹部消化管の不快感と既視感)。抗てんかん薬の投薬により、その異常感覚は消失しています。この患者さんの発作内容は現在の分類では「焦点意識保持発作」と呼ばれるもので、意識を失う「焦点意識減損発作」の前兆とされるものです。まだ意識を失う発作を起こしたことがなかったので、ケガや事故がなくて良かったのと、約15年以上も悩んでいた、その不安から解放されて良かったと思っています。
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